皆さまは”レンタル彼女”というものをご存知でしょうか。
ポストに投函されたチラシに興味を惹かれ、24時間コースを申し込んでしまいました。顔写真は載ってなかったのですが、
”ピアノ系女子”の女の子を指名しました。
おしとやかでピアノが上手な可愛い子なんだと思います。
便利なことに私の家まで来てくれるみたいなので凄く楽しみです。
時間的にはそろそろかな・・。
ピンポーン
俺「お・・きたきた・・。」
え・・?
え・・・?ピアノ?
?「こんにちわ〜」
俺「こ、、こんにちわ・・・。どなた・・というか何?」
?「レンタル彼女のゆなです。よろしくお願いします!」
俺「え・・。ど、どうぞお入りください・・。」
なにこれ・・。インターホンの画面が壊れたのかな・・。
ガチャ
ゆな「失礼しま〜す。」
わああああああああああ!!!!!!ピアノおおおおおおおおおお!!!!!!!!
俺「え・・・あの・・・。」
ゆな「上がらせてもらっていいかな・・?」
報道機関に連絡したい気持ちをグッと抑えて声をひねり出す。
俺「・・・ど・・どうぞ。」
ゆな「ありがと。とりあえず自己紹介しますね。」
名前:ゆな
出身:ザンビア
身長:1メートル30センチ
体重:約10kg
好物:鉄腕DASHの0円食堂でNGだった食材
ゆな「休日は、信長の野望の実況プレイ動画を見て過ごしてます。」
俺「独特だね・・。」
ゆな「よく言われますっ!あはは〜」
流暢に会話するピアノを目の前にして、俺はいつの間にか普通の女性として接してしまっていた。
そして会話は盛り上がり2時間経過
ゆな「そろそろお腹すいてきちゃったなぁ・・」
俺「よし、昼ごはん行こっか。何食べたい?」
ゆな「ん〜、死んで間もない鹿肉かなぁ。」
ゆなのボケには一切耳をかさず、近所の高級なお店に入ってみる。
ゆな「わあ〜美味しそうーーーっ!!!」
ゆなは嬉しそうにガツガツ食べ、味噌汁を18杯おかわりした。それがキッカケで店員とエビフライを叩きつけ合う大喧嘩になり、出入り禁止になった。
しかし、そんな無邪気な彼女の姿を見ていたら、いつのまにか恋愛感情を抱いてしまっている自分に気付いた。
俺「あの・・レンタル彼女っていう関係じゃなくてさ、彼女になってくれないかな・・」
ゆな「え・・・。私でよければ・・。」
告白成功
そして、彼女になった途端抑えていた感情が爆発した。
好きだああああああああああ
あはははっはっははー!!!
ハアハア・・。
俺「楽しかったね。」
ゆな「うん・・。」
ゆな「あの・・実は、秘密にしてたことがあるの。」
俺「え・・何?」
ゆな「私、一週間後に修理に出されるの。右から4番目の”ファ”が凄く調子悪くて・・。その”ファ”は海馬的な役割をしていて記憶を司ってるの・・。」
俺「つまりそれが直らなくて新品と交換になったら・・・?」
ゆな「・・あなたのことを忘れてしまうかもしれない・・。」
俺「なっ・・・!!そんなの許せるわけないだろっ!!!」
ゆな「ごめんなさい・・。」
俺「えぇい!!もう結婚しよう!!忘れて欲しくない!!」
ゆな「・・っ!!」
ゆなは、コクリと頷いた。
俺はゆなを抱きかかえて一目散に駆け出した。
そして、役所に婚姻届を提出した。
俺「これで、今日から夫婦だな・・。」
ゆな「そうね・・。こんな私だけど、よろしくね。」
残された時間は1週間。家に帰る時間も惜しい。
外で新婚初夜を迎えることにした。
・・次の日
俺「おはよう。いい朝だね。」
ゆな「おはよう。実は、もう一つ言ってなかったことがあるの。」
俺「・・なに?」
ゆな「私の両親は凄く厳しいから、結婚は反対されると思うの。この辺で私が働いている事は知っているはずだから、いずれ見つかって連れ戻されてしまう。」
俺「・・俺が力ずくで止めてみせる!」
ゆな「無理よ!私の父親はグランドピアノで、朝青龍3人分の重さなのよ!!」
俺「くっ・・質量の暴力・・っ!えぇい!それなら方法はこれしかない!!」
俺はゆなを連れて走り出した。
そして・・
船で県外に逃亡した
完
”レンタル彼女”を頼んだらどうなるか。
検証結果
ピアノと結ばれるために、駆け落ちしてしまう。